簿記の種類を徹底解説!日商簿記・全商簿記・全経簿記の違いは?【目的別の選び方】

経理やお金の管理に興味を持っているけれど、「簿記って何から始めればいいの?」という疑問を抱えている人は多いと思います。

そんな方々のために、この記事では簿記の基本から種類、検定試験までをわかりやすく解説します。

読み終わる頃には、あなたに最適な簿記検定が見つかり、キャリアアップや専門知識の向上への一歩を踏み出せるでしょう。簿記の世界を知ることで、仕事や資格取得に対する道筋が明確になります。

目次

簿記の基本を理解しよう

簿記の基本を理解しよう

簿記は、企業のお金の動きを正確に記録し、管理するための大切な技術です。

会社が日々行うさまざまな取引を記録することで、どれだけのお金が入ってきて、どれだけ使われたのかを把握します。

会社の財務状態を正しく理解し、未来の経営判断に役立つ情報を提供できます。簿記にはいくつかの種類があり、それぞれ特定の業種や目的に合わせた形式が存在します。例えば、商業簿記は商品の売買を中心にしたものであり、工業簿記は製造業に特化しています。

簿記の知識を認定する様々な検定試験があり、それぞれ就職や転職、専門性を高めるために役立ちます。簿記の基本を理解することは、ビジネスの世界で成功するための第一歩とも言えるでしょう。
» 簿記資格取得のメリットと効果的な学習方法

簿記とは何か

簿記は経済活動の結果として生じるお金に関わる取引を記録し、整理する技術です。

会計の基本的な技術として使われ、企業や個人事業主が自分の財務状況を正確に知るために不可欠です。

簿記の歴史は古く、14世紀ごろのベニスの商人たちが取引を正しく記録するために簿記を使い始めました。今では、財務諸表を作成する際にも、必要な情報をしっかりと記録するために用いられています。

簿記は、経営の意思決定に役立つ重要なツールであり、多くの場面で活かされます。

簿記の役割とは

簿記の役割は非常に重要で、企業や個人事業主が行う経済活動を記録し、管理するための技術として機能します。財務状況や経営成績を正確に把握することが可能になります。

実際の取引に基づいた客観的な証拠を残すことにより、法令に従った帳簿の記録が行えます。これは税務申告などの基礎資料としても活用され、非常に重要な意味を持ちます。

簿記は内部での管理情報として機能し、経営者や従業員が適切な意思決定を行う上で不可欠な情報を提供します。株主や債権者などのステークホルダーへの責任を果たすために必要な情報も供給するため、簿記は経営の透明性を確保する上で欠かせない役割を担っています。

簿記の種類を詳しく解説

簿記の種類を詳しく解説

簿記は会計記録を行う方法であり、正確な収支を把握し経営の意思決定に役立てるために利用されます。種類は多く、それぞれ特徴が異なりますが、状況や業種に応じて使い分けることが可能です。

単式簿記
単式簿記は現金出納簿によって管理され、個人や小規模事業者が日々の収支を記録するのに適しています。
複式簿記
資産や負債など会社の財務状態の変動を詳細に把握できるため、中規模から大規模企業で一般的に用いられます。
商業簿記
商品の販売取引記録に特化し、商売を行う企業に適しています。
工業簿記
製造業に特化し、原価計算やコスト管理に重点を置いています。
建設業簿記
建設業の会計処理に特化しており、進行状況に基づく収益認識やコスト管理などが含まれます。

これらの簿記の種類を理解することは、適切な会計処理と正確な財務情報を得るために重要です。

国際的な活動を行う企業では、国際基準と日本の会計基準の違いに注意が必要です。国際基準に従った会計処理の知識が求められる傾向にあります。簿記の種類を把握することで、ビジネスやキャリアに合った知識を身につけることが可能です。

単式簿記と複式簿記の違い

単式簿記と複式簿記は、記録の方法が大きく異なります。

単式簿記は、お金が入ってくるところと出ていくところを記録する一方的な方法です。

これに対して複式簿記では、取引ごとに資産や負債など、会社のお金の動きを二方向から記録します。つまり、複式簿記は会社がどのようにお金を使い、どのようにお金を得ているかを詳しく知ることができるのです。

使用する人にも違いがあります。単式簿記は、個人や小さなお店などでよく使われています。これに対し、複式簿記は、会社やもっと大きなお店で使われることが多いです。なぜなら、複式簿記ではお金の流れを細かくチェックできるので、会社の状態を正確に把握することができるからです。

複式簿記では、仕訳帳や総勘定元帳など、いくつかの帳簿を使って記録しますが、単式簿記では、家計簿のようにシンプルな記録で済みます。このため、単式簿記のほうが計算が簡単ですが、会社の財務状態を詳しく分析するには複式簿記の方が適しています

単式簿記と複式簿記には、記録の方法、使用する人、必要な帳簿の種類、財務分析ができるかどうかなど、様々な違いがあります。それぞれの特徴を理解することで、状況に合った簿記方法を選ぶことができます。

商業簿記と工業簿記は何が違うの?

商業簿記と工業簿記は、それぞれの業種に特化した会計処理の方法です。

商業簿記は商取引を扱う企業に用いられ、商品の売買に関する経理が中心となります。一方、工業簿記は製造業向けで、原材料費や労務費、製造間接費など製造原価の計算に重点を置いています。

商業簿記では、商品を売った際の販売費や一般管理費がすぐに経費として計上されるのが特徴です。つまり、お金の出入りを記録することが主な役割です。工業簿記では、製品ごとのコストを細かく計算し、製造原価を明確にするため、完成品のコストを正確に把握できるという利点があります。

工業簿記では直接的な材料コストだけでなく、間接的なコストも考慮に入れる必要があります。電気代や機械の減価償却費など、工業簿記は商業簿記に比べ複雑で緻密な原価計算を要求され、製造プロセスの理解と技術的知識が重要になります。

商業簿記と工業簿記は、目的や会計処理に違いがあり、業種に合わせた特徴を持っています。企業が効率よく正確な経営を行うためには、これらの違いを理解し、適切な会計方法を選ぶことが大切です。

その他の簿記の種類:建設業簿記など

簿記には、様々な種類が存在し、業種に特化したものもあります。例えば、建設業簿記は建設業界独特の会計処理を学ぶためのものです。長期にわたる工事の収益をどう計上するか、この分野では工事原価台帳や機械工具台帳など特有の帳簿を使用します。

このように、各業種の特色を反映した簿記を学ぶことで、より専門的な会計知識を習得することが可能になります。

簿記の分類:主催団体による種類

簿記の分類:主催団体による種類

簿記の分類は、主催する団体によって異なります。主催団体ごとに学習内容やレベルも変わるため、自分の目的やニーズに合致する種類を選ぶことが重要です。

簿記検定の種類日商簿記全商簿記全経簿記
検定名簿記検定試験簿記実務検定試験簿記能力検定試験
主催者日本商工会議所全国商業高等学校協会全国経理教育協会
対象一般社会人商業科・商業高校の高校生社団法人全国経理教育協会が主催する経理・会計専門学校の学生
1級・2級・3級・簿記初級・原価計算初級1級・2級・3級上級・1級・2級・3級・基礎

たとえば、日商簿記は日本商工会議所が主催し、実務に即した内容が特徴です。初心者から上級者まで対応する幅広いレベルの資格を提供しています。対照的に、全経簿記は全国経理教育協会が主催し、簿記だけでなく経理全般の知識を問う試験が特徴です。

全商簿記は商業高校生向けに設計されており、学校教育に沿ったカリキュラムが基となっています。簿記の分類を理解することで、自分に適した学習や資格取得への道を見つける助けになります。

日商簿記とその特徴

日商簿記は、日本商工会議所が主催する簿記の知識を測る検定試験です。全国で実施されており、多くの人が受験することで知られています。この試験では、ビジネスの現場で求められる実務的な会計知識が問われます。

試験のレベルは3級から1級まであり、それぞれの難易度が段階的に上昇していきます。3級では簿記の基本を理解することから、2級では複式簿記の実務応用を、そして1級ではさらに高度な会計理論とその応用を学びます。

特に商業簿記の知識が中心ですが、一定のレベルに達すると工業簿記に関する知識も求められます。日商簿記の資格を取得することにより、簿記の知識を証明でき、職業生活において大きな助けとなることが期待されます。

日本商工会議所のホームページでは簿記2級について、以下のような記載があります。

経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ。 高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル。

引用:日本商工会議所

企業の会計担当者や会計事務所での就職・転職に有利であるほか、実際の会計業務に役立つ知識や技能を身につけることができます。実務で使える会計スキルを習得したい人にとって、日商簿記は非常に価値のある資格と言えるでしょう。
» 未経験でも簿記2級で経理転職

全経簿記とその特色

全経簿記は、全国経理教育協会が主催する簿記検定試験です。実務で直接活かせる知識を学ぶことができるのが大きな特色と言えます。

具体的には、現場でよく遭遇する実践的な取引が多く含まれており、それにより習得した知識が仕事に役立つ形で活用できます。試験では実情に即した総合問題が出題されることが多く、管理会計やコスト計算などの専門的な知識が求められます。これによって、特に経理職や会計職への就職、キャリアアップを目指す方々に適した資格であると言えるでしょう。

全経簿記には3級から1級までのレベルがあり、自分が目指す専門性に応じて挑戦することができます。

全商簿記の概要

全商簿記とは、全国商業高等学校協会が主催する簿記検定で、特に商業高校生や専門学校生に向けた試験です。実際のビジネスシーンで直接役立つ内容に焦点を当てており、初級から上級までのレベルが用意されています。

この検定は、商業計算や実務簿記などの商業実務に関連する広範な知識を問うため、学校の授業と結びつけながら学ぶのが一般的です。どんな人でも受験することができるので、実務で役立つ知識を身につけたい方には特におすすめです。

簿記の難易度と各検定試験の概要

簿記の難易度と各検定試験の概要

簿記の学習は、基礎から高度な専門知識まで幅広くカバーしており、それぞれのレベルに応じた検定試験が設定されています。

簿記能力を証明するための検定試験には、日商簿記、全経簿記、全商簿記などがあります。なかでも日本商工会議所が主催する日商簿記が最も規模が大きく、知名度が高い簿記の資格です。

日商簿記全商簿記全経簿記
主催日本商工会議所全国商業高等学校協会全国経理教育協会
正式名称簿記検定試験簿記実務検定簿記能力検定試験
↑難易度:低



↓難易度:高
・原価計算初級
・簿記初級
・3級
・2級
・1級
・3級
・2級
・1級(原価計算)
・1級(会計)
・基礎
・3級
・2級(工業簿記)
・2級(商業簿記)
・1級(工業簿記&原価計算)
・1級(商業簿記&会計学)
・上級
対象者全員商業高校の生徒専門学生
コメント簿記といえばコレ
総受験者数2,800万人以上
1級を推薦基準にしている大学あり上級なら税理士試験の受験資格がもらえる

検定を選択する際は、それぞれの特色と目的を理解することが重要です。各検定試験の特徴を知り、自分の目標やキャリアプランに合わせて資格を選びましょう。

日商簿記

日商簿記は、日本商工会議所が主催する簿記能力を認定する検定試験です。

3級から1級までのレベルがあり、簿記の基本から複雑な会計処理に至るまで、段階的に学ぶことができます。具体的な内容は以下のとおりです。

  • 簿記3級:仕訳や決算の初歩を学ぶ
  • 簿記2級:より複雑な取引の処理や決算書の作成を学ぶ
  • 簿記1級:高度な取引分析や会計システムの理解を深める

この検定は、実務で直接役立つ知識が得られるため、就職や転職に有利とされています。

全国で受験可能で、簿記の中で最も規模が大きく、知名度が高い資格です。会計や税務を担当する職種だけでなく、公認会計士や税理士を目指す人にも推奨されています。

独学での学習もしやすく、多くの教材が手に入る点も魅力の一つです。試験は年に数回実施され、受験料も比較的手頃です。詳細な日程や受験料については、日本商工会議所のホームページで確認できますので、興味がある方はチェックしてみてください。
» 簿記は何級から始める?難易度と効果的な勉強方法

全経簿記

全経簿記は、実務に直結した知識と技能が評価される資格です。

全国経理教育協会が実施するこの試験は、3級から1級までのレベルがあり、経理や財務の専門職を目指す人に適しています。

特色として、実務経理で求められるスキルが問われるため、実際の業務に役立つ知識を身につけることができる点が挙げられます。日商簿記と比較して、税法などの内容がより詳細に出題される傾向にあります。

特に実務経験を持つことが推奨される場合もあり、深い知識を得たい人にはオススメの資格です。1級を持っていると、税理士試験の一部免除の対象になることもあり、税理士を目指す人には大きなメリットがあります。

試験は年に数回実施され、インターネットを通じて申込みが簡単に行えます。

全商簿記

全商簿記は、全国商業高等学校協会が主催する検定試験で、商業高校生から実務で簿記を使用する社会人まで対象となっています。

この試験には初級、中級、上級の3つのレベルがあり、それぞれのレベルで小中規模の商店や企業の経理業務に必要な知識と技能が問われます。

具体的には、初級では日常の取引記帳能力、中級では決算処理知識、上級では財務諸表の作成能力が評価されます。実務に即した問題が出題されるため、実際の簿記業務で役立つスキルが身につきます。

全商簿記の取得は、簿記の基礎知識を持つことの証明とされ、業務の効率化やキャリアアップに役立つ資格として認知されています。 商業高校生や実務者にとって、段階的なスキルアップが可能なのが魅力です。

各種簿記検定の選び方と目的別のオススメ

各種簿記検定の選び方と目的別のオススメ

簿記検定を選ぶ際には、自分の目的としている分野や業界に認知されている資格を意識することが重要です。

たとえば、ビジネスの基礎知識として幅広い業界で認知されている日商簿記検定は、就職や転職で特に役立ちます。業界内では日商簿記2級以上が認知度が高く、求められていることが多いです。

会計や税務の専門性を証明する全経簿記検定は、経理や財務の専門職を目指す方に適しています。

初心者の方が簿記の資格取得に挑戦する場合は、日商簿記3級から始めて基礎を固め、徐々に日商簿記2級、1級へとステップアップしていくことが一般的です。これは、難易度や試験内容を段階的に上げていくことが可能であるため、無理なく実力をつけることができるからです。

商業高校生や専門学校生の場合は、実務に即した全商簿記検定がおすすめされることがあります。それぞれの検定には特色があり、目的に応じて最適なものを選択することが成功への鍵となります。

就職・転職に有利な簿記検定を選ぶ

就職や転職において有利な簿記検定を選択することは、自己のキャリアプランに大きく影響を与える重要な決断です。業界や職種における需要と、簿記検定の種類を理解することが必須となります。実務でよく使われる知識を身につけたい場合、日商簿記2級がおすすめとされています。これは多くの企業で基本的な会計知識として認められており、様々な業界で求められているからです。
» 簿記2級を活かせる仕事|転職市場での優位性

一方で、財務や会計の専門職を目指すなら、より高度な知識を証明する日商簿記1級が適していると言えます。経営分析や管理会計に特化した知識が必要な場合は、全経簿記検定が有利です。公的な機関や大手企業への就職を考えている場合、全商簿記検定が役立つことがあります。

簿記検定を選ぶ際は、目指す業界や職種、そして将来のキャリアプランを考慮に入れ選ぶことが大切です。

専門性を高めるための簿記検定

会計知識の証明として、簿記検定は非常に重要な役割を果たします。上級資格を取得することは専門性を高め、キャリアアップに大いに貢献します。日商簿記1級は、高度な会計や財務の知識が求められる基本資格であり、税理士や公認会計士を目指す方に特に必要です。

それに対して全経簿記上級は、管理会計やコスト計算に特化しており、特定の業務領域で専門性を深めたい場合に適しています。特定の業界に就職を希望する際にも、その業界に特化した簿記検定の取得が望ましいとされています。

簿記検定は実務経験を補完し、会計ソフトの操作能力を証明するためにも有効です。これによって、デジタル化が進む現代の職場で即戦力となることが可能です。したがって、自分のキャリアプランや目指す業界に合わせて、適切なレベルの資格を選択することが重要です。これにより、専門性を高め、業務でより高い価値を提供できるようになります。

資格取得を目指すならどの簿記がいい?

資格取得を目指す際には、個人の目標や将来のキャリアプランを考慮することが重要です。特に簿記の資格に関しては、日商簿記がビジネスの現場で広く認知されているため、会計職や金融業界への就職や転職に有利であると言えます。

その理由は、これらの分野で必要とされる知識やスキルが日商簿記のカリキュラムに含まれているからです。

一方、全経簿記は、財務分析や経営分析など、より幅広い知識を必要とする高度な業務を目指す人に適しています。全商簿記は比較的入門レベルで、商業高校や専門学校で利用されることが多く、初めて学ぶ人に適しています。

独立や開業を考えている方には日商簿記が推奨され、経営者としての視点を重視する人には全経簿記が役立ちます。最終的には、自分の興味や目指しているキャリア、必要とされる専門性に合わせて、適切な簿記検定を選ぶことが肝心です。各簿記検定は異なる知識とスキルを提供し、それに応じたキャリアパスが開けることでしょう。

まとめ

まとめ

簿記は会計情報を適切に管理し、財務状況を正確に把握するために欠かせない技術です。その重要性は、単式簿記や複式簿記といった異なる記録方法と、商業簿記や工業簿記といった業種ごとの特化した形態によっても表れています。

日商簿記、全経簿記、全商簿記といった検定試験は、それぞれに特徴を持ち、受験者の目的に応じて最適な選択をすることが重要です。

就職や転職、専門性の向上、資格取得を目指す方にとって、簿記の知識は大いに役立ちます。適切な簿記検定を選ぶことで、キャリアやスキルの発展に繋がるのです。
» 転職活動はいつから始める?最適なタイミングを解説

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ゆうのアバター ゆう 現役の経理部員

当ブログをご覧いただきありがとうございます。
編集長のゆうです。

現役の経理部員として知らないと損する「お得な情報、オススメ転職エージェント、転職ノウハウ」などを惜しみなく公開します。
2022年から未経験で転職活動をスタートし、2社の内定を獲得しました。
年収も420万円から600万円にアップし、経理事務を満喫しています。

皆さんの役に立つ情報発信をしていきますので、よろしくお願いします。

コメント

コメントする

CAPTCHA

目次